三十路会社員のレート奮闘記

ポケモン・テニス・アニメを中心に。雑多なブログ。

やがて君になる 9話 感想 考察 ~身が千切れるような侑の心情~

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 (何が起きるのか、まだ何も知らない体育倉庫氏)

 

 

こんにちは。づかと申します。

やが君9話は、過去最高にタフな回となりましたが、今回も感想&考察を述べていきたいと思います。


※本記事はアニメ『やがて君になる』9話までのネタバレを含みます。ご一読の際は、9話を視聴の上でご覧ください。筆者は原則既読勢です。本記事には一部原作の場面を挿入しています(挿入内容はアニメ放送時の原作分までです。アニメ放送以降の原作ネタバレはありません)。



やがて君になる』9話「位置について/号砲は聞こえない」

【目次】
1.五感から読み解く侑の心理描写
2.超えてはいけないラインを超えてしまうと・・?
3.ブログ紹介




1.五感から読み解く侑の心理描写


9話を視聴されたみなさま、お疲れ様でした。
1日経っても、衝撃冷めやらぬ状況ではありますが、9話においても素晴らしい演出の数々がありましたので、考察していきたいと思います。

 




●人が恋に落ちる瞬間

まず、とんでもないことが起こった体育倉庫でのお話の前に、リレーの話を。

リレーの場面は、倉庫のシーンと合わせて、9話の話の核でした。
生徒会のチームワークを感じ、侑と沙弥香、沙弥香と燈子の絆を感じ、またライバルとの戦いもあり、これぞ体育祭の青春!が詰まった素晴らしいシーンでした。


その中で最も印象的なのは、燈子に見惚れる侑でした。この場面を細かく見ていきます。

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走り抜ける燈子を見る侑。
その視界からは、すこしずつ周りの走者や応援している人たちは消えて、侑はただただ燈子を追い続けます。注目すべきは、

侑は燈子のゴールの瞬間を見届けていない

ということです。

 

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後ろの堂島くんや他の応援者と侑の目線は、明らかにズレています。なぜ燈子を追っていたはずなのに、見届けられなかったのか?

いきなりの結論となりますが、それはこの瞬間に、
侑が燈子のことを完全に好きになったから(特別を手に入れた)だと捉えています。


これは、誰かを好きになること・特別を知らなかった侑にとって、初めての事態です。

自身の内から湧き上った感情が一体なんなのか、呆然としてしまい、侑は燈子を見届けることができませんでした。また、「ゴール」とは文字通り「物事の終わり」と直接的につながっています。侑の恋は、今この瞬間から始まっています。ゴールとはもっともかけ離れた立ち位置にいます。そのため、「リレーが終わったこと」・「自分たちが負けたこと」を侑が認知していない事は妥当な帰結と言えます。

※ここで、サブタイトル「位置について」が、侑がスタートラインに立ったこと、同じく「号砲は聞こえない」が、ゴールの音を聞いていないこと、をそれぞれ回収しています。「号砲は聞こえない」についてはもう1つありますが、そちらは後述します。



ホワイトアウト(共通する侑と沙弥香)

 

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(走る燈子を見つめる侑)

侑の背景が完全にホワイトアウトする直前、侑は燈子との出会いからの出来事を思い出しています。手に触れたこと(触覚)・見つめあったこと(視覚)・キスをしたこと(味覚)の順番です。声(聴覚)と匂い(嗅覚)の描写がなかった点は後述。



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(7話ラスト。「だからこれからも頼むよ沙弥香」と燈子に言われた沙弥香)

一方の沙弥香。
ホワイトアウトは、人が恋に落ちる瞬間を表しているのかもしれません。


ちなみに、いずれの場面も燈子は前を向いています

沙弥香が燈子のことを好きなところを「私より前を向いてくれるところ」と言っていました。

侑が今回見惚れたのは、リレーで、燈子が全力疾走している姿です。前を向く姿勢として、これ以上のものはありません。

 

表舞台の燈子はすごい!
七海燈子は横顔で落とす!すごい!




●体育倉庫にて①

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いよいよ体育倉庫の場面。
先ほどの、五感の描写がここに繋がってきます。

キスをしている間の、侑の独白はこうです。

「見返りのいらない好意を与えられること 
 優しくされること

 さらさらの髪や長いまつげ いいにおい 
 柔らかいこと

 それらを心地いいと感じるのは 
 手放したくないと思うのは

 ただの当たり前で 特別なんかじゃないはず
 心臓の音がする 
 ・・・私のじゃないな 先輩の音だ

 だってこれじゃ 速すぎるから」

侑は燈子から、これまでにないほどの好意を与えられます。それを侑は存分に受け入れますが、唯一聴覚(=心臓の音)だけは拒みます。※嗅覚は上記では触れられていませんでしたが、ここでは「いいにおい」として受け入れています。

2度目の「号砲は聞こえない」はここにかかってきます。ここでの号砲は侑の心臓の音を意味しています。

1度目の号砲は、燈子によりもたらされたものであり、侑は号砲を本当に認識していません。2度目は、意図的に聞こえない「振り」をしています。ほかの感覚は受け入れても、どれか1つの感覚だけでも拒んでいないと、超えてはいけないラインを超えてしまったのでしょう。以下は、原作編集担当である楠さんがツイートした内容です。


 

この原作扉絵からも分かるように、
・侑が自分で耳を塞ぐ
・(おそらく)燈子によって塞がれている
二重に塞がれていることが分かります。

まず、このタイトル・扉絵の原作が凄すぎる。圧倒的な構成力です。そして、それを補完してより分かりやすいものに落とし込んでいるアニメ。
原作:仲谷先生と編集:楠さんの対談でもあったように、これが【完全版やが君】なんですね・・!(原作に関する言及は以上です)

media.comicspace.jp



以上が、五感から読み解く侑の心情考察でした。

※余談ですが、OP曲「君にふれて」の「ふれて」が「触れて」じゃないのがエモいですね(エモいの使い方合ってるかな?)。「触れる」だけじゃ触覚だけで終わってしまう可能性があるけど、ひらがなだと色んなふれ方があると想像できる点が、エモいです。







2.超えてはいけないラインを超えてしまうと・・?


侑が言った、超えてはいけないラインを超えてしまうとどうなってしまうのか?
また、それを超えなかったことで生じたものを考えてみました。

それを考えるに辺り、「波」にという概念をキーワードにしました。



●水と波

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場面を槇くんと侑の休憩に戻します。
ここでは、侑が水の中にいる描写があります。

1話では、侑はもっと深い場所にいました。水の色が淡くなっていることから、9話のいる侑の場所は、水中から陸に上がる直前ということが分かります。

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(1話の水中のシーン)


侑は水の中にいることは間違いありませんが、それが魚なのか、水そのものなのか、
泡なのか、その定義付けが非常に困難です。9話でペットボトル(おいしい水)を飲んでいましたが、それでもうまくイメージ付できません。

そのため、今回は「水の中を漂っているモノ」として表現します。

では、その漂うモノは波に揺られるとどうなるのか?
「波」の概念について、ここでは、EDで描写されている、糸電話の波形をイメージしてもらえればと思います。糸電話の波は、上がっては下がってを繰り返します。ブレ幅や波の大きさに差はあれど、ゆらゆらと揺れています。

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これは、一般的な自然の摂理ですが、ほとんどの波は一定の上限と下限を保って揺れるそうです。一定の幅がずれるのは、地震などの大きな地殻変動があった場合に限られます。そのような大きな出来事があった場合、その勢いはしばらく止まることはありません。これをブレイクアウトと言います(なんかかっこいい)。


それを図にしたものが下記になります。

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(図①)f:id:zuka_poke:20181201235647j:plain

(図②)

侑はこの図で示したように、1度ブレイクアウト(=海から出ている)しているのでは、と捉えています。

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それを示すのが、体育祭後、こよみ・朱里と3人で並んでいるシーンです。足元にはブルーシート(海)・目の前にはグラウンド(陸地)。

侑がブレイクアウトした瞬間は、本記事前半で述べたホワイトアウトした場面です。
そりゃあ、はじめて海から上がったら、頭真っ白になりますよね。と強引に繋げてみます。



●体育倉庫にて②


最後に、場面を再び体育倉庫に移して本記事を終えたいと思います。

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侑からのキスの直前、「ダメだ。ここを超えたらいけないことだけはわかる」と侑が独白した場面、苦しそうに侑の手が水中をもがくシーンが写ります。


本記事では先ほどのように、水中から一度あがったと表記しているので、一見矛盾しているように見えますが、これは侑が再び水中に潜った描写とも言えます。


精神は一度超えてはいけないラインを超えたが、肉体はまだ超えてはいない。肉体も超えてしまったら、もう本当に戻れないと、侑が渾身の理性でもって、水中に戻った描写であると。

その場合、侑の心の摩擦は尋常なものではありません。ブレイクアウトの場面でも示したように、一度突き抜けたモノの勢いはそう簡単には止まりません。今まで溜まっていたものが噴出してくることを、それ以上の力で押さえつけなくてはならないからです。

その時の侑の心は、上向きの矢印と下向きの矢印が交互に重なり合って、それを抑えるのに本当に必死だったことと思います。

↑↓↑↓↑↓↑↓↑↓↑↓↑↓↑↓↑↓↑↓↑↓↑↓↑↓↑↓↑↓↑↓↑↓↑↓↑↓↑↓↑↓↑↓↑↓↑↓↑↓↑↓↑↓↑↓↑↓↑↓↑↓↑↓↑↓↑↓↑↓

こんな具合に。

この矢印の並びが、燈子からのキスを全身で浴びる間、無限に並ぶかのような・・。
いったいどんな拷問だ。

でも、侑は耐え抜きました。そうしないと(=超えてはいけないラインを超えること。燈子に恋心を気づかれてしまうと。)、燈子は侑から離れてしまうから。必死に自分の気持ちを抑え続けます。

よく頑張った・・・と侑の戦いを心の底から称えたいです。


「超えてはいけないラインを超えてしまうと・・?」の解釈は以上です。




3.ブログ紹介

今回も大変参考にさせていただいたブログを2つ紹介させていただきます。

www.anime-kousatsu.com

「ゆっちー」さんの記事になります。
侑がスタートラインについたこと、号砲は聞こえない、の部分が非常に分かりやすく考察されています。また、「好きを嫌がる燈子がなぜキスをご褒美としたのか?」という
問題提起をされていたことが非常に新鮮でした。自分ではまったくそこに引っ掛かりがなかったので、言われてみると確かに疑問です。自分でははっきりした答えが出ませんでした・・。


yagakimi.hatenablog.jp

こちらも、前回から引き続き紹介させていただきます、「ygkm」さんの9話感想ブログです。自分が今回、侑と水の関係から連想したことは、ygkmさんがブログ内で表現された【孤独な深海】という言葉が非常に印象的だったためです。また、槇くんと侑の会話の、開いた窓ガラスについても、するどい考察をなされています。


金曜日に本編を見て、翌日には紹介させていただいた記事のほか、さまざまな考察・感想が見られて幸せな限りです。今回は、とにかく早く更新をする!という目的で臨みました。その分もう少し考えたい所があったり、他の見所を書きたい気持ちがあるので(特に沙弥香絡み)、加筆できたらよいなと思います…!


季節も12月に入り、アニメの放送は残り4回となりました。残り1か月、精一杯やが君ライフを楽しんでいきたいと思います。

 

ここまで読んでくださった方がいらっしゃいましたら、本当にありがとうございました。ではでは!

TwitterID:@duka_yagakimi

 

 

 

 

 

やがて君になる(6) (電撃コミックスNEXT)

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